【導入】音の洪水に溺れる覚悟はあるか?
おい、お前ら。また会ったな。 今日は、70年代のロックシーンで最も「デカく」、最も「うるさく」、そして最も「金のかかる」怪物たちの話をしようか。
Emerson, Lake & Palmer(ELP)だ。
今の若い奴らは「プログレ? ああ、なんかインテリが聴く難しい音楽だろ?」なんてナメた口をきくかもしれねぇ。だがな、断言してやる。こいつらはインテリなんかじゃねぇ。「インテリの皮を被ったバーサーカー(狂戦士)」だ。
あいつらがやったのは、優雅なクラシックの融合なんかじゃない。鍵盤をナイフでめった刺しにし、何千万円もする機材を爆音で唸らせ、スタジアムの観客を物理的に圧倒する「暴力」だったのさ。
3人の天才が集まって、互いのエゴをぶつけ合いながら、どうやって世界を制圧し、そして自滅していったか……。今日はそのドロドロした裏側をたっぷり聞かせてやるぜ。ハンカチじゃなく、耳栓を用意しとけよ。
【結成の裏側】運命? 笑わせるな、これは「覇権争い」だ
いいか、ELPの結成は、売れないバンドマンたちが安アパートで夢を語り合った……なんて甘っちょろいもんじゃねぇ。 「ザ・ナイス」のキース・エマーソン。 「キング・クリムゾン」のグレッグ・レイク。 「アトミック・ルースター」のカール・パーマー。
すでにそれぞれのシーンで名を馳せていた「将軍」たちが、より巨大な領土を奪うために手を組んだ、いわば軍事同盟だ。
最初の噂を知ってるか? こいつら、最初はドラマーにジミ・ヘンドリックスの相棒、ミッチ・ミッチェルを誘ってたんだ。そこから「もしかしてジミヘン本人も加入するんじゃねぇか?」って話が広まり、バンド名は**「HELP(Hendrix, Emerson, Lake & Palmer)」**になるはずだった……なんて都市伝説まである。
もしそれが実現してりゃ、ロックの歴史は変わってただろうな。だが、ジミは死に、残ったのは**「鍵盤の魔王」「黄金の声」「ドラムの千手観音」**という、エゴの塊みたいな3人だけだ。
特にキースとグレッグの主導権争いは、結成当初から火花を散らしてたぜ。「俺の曲をやらせろ」「いや、俺のインストだ」ってな。こいつらの音楽が緊張感に満ちているのは、仲が良いからじゃない。スタジオの中で殺し合いをしてたからだ。
カール・パーマーなんて、最初は加入を渋ってたんだぜ? 「アトミック・ルースターの方が成功する」と思ってたからな。だが、結局は金と野心に突き動かされた。そう、ELPの原動力は友情なんかじゃねぇ。「世界最強の音を出す」という、狂気じみた執念だけだったのさ。
【全盛期の狂気】36トンの機材と、空飛ぶピアノ
デビューするやいなや、こいつらは瞬く間に世界を席巻した。だが、そのやり口が尋常じゃねぇ。 今のバンドがPC一台で同期演奏してるのを見ると、俺はELPのステージを思い出して鼻で笑っちまうよ。
全盛期のツアー、こいつらが持ち運んでた機材の総重量を知ってるか? 36トンだぞ、36トン。 トレーラー何台分だ? 専属のスタッフ、医者、さらには家族まで引き連れて、まるで移動サーカスか軍隊の行軍だ。
鍵盤の破壊者、キース・エマーソン
まず、キース・エマーソンだ。こいつはただのキーボーディストじゃねぇ。 ハモンドオルガンを揺らし、下敷きになり、鍵盤の隙間にナチスの短剣を突き立てて音を固定する。オルガンから火柱が上がるなんてのは日常茶飯事だ。 極めつけは、グランドピアノごと空中に吊り上げられて回転するパフォーマンスだ。想像してみろ。何百キロもあるピアノと一緒に空中でグルグル回りながら、指だけは正確にクラシックのフレーズを弾いてるんだぜ? 「命がけ」の意味が違うんだよ。 下手すりゃピアノに押し潰されてミンチだ。
金に糸目はつけねぇ
カール・パーマーのドラムセットもイカれてた。すべて特注、中にはステンレス製の数トンあるドラムセットもあった。「音が硬すぎる」って文句言いながら、それでも叩き続けたんだ。 グレッグ・レイクは、ステージにペルシャ絨毯を敷かせた。それ一枚で家が建つような値段のやつをな。 「雰囲気が大事だ」だとよ。ロックコンサートだぞ? 泥だらけのブーツで踏み荒らす場所に、国宝級の絨毯だ。
この頃のELPは、まさに「歩くバブル経済」だった。稼いだ金はすべて機材と演出、そして馬鹿げた浪費に消えていった。だが、その過剰さこそが、当時のキッズたちを熱狂させたんだ。「ここまでやるか!?」っていう呆れと尊敬が入り混じった感情な。
だがな、こんな狂った宴が、永遠に続くわけがねぇんだよ……。
【崩壊、あるいは伝説へ】オーケストラという名の「自爆」
ELPを殺したのは誰だ? パンク・ロックか? 音楽性の不一致か? いや、違うな。こいつらを殺したのは「自らの巨大すぎるエゴ」だ。
1977年、彼らは「Works(四部作)」というアルバムのツアーで、とんでもない賭けに出た。 「フルオーケストラを帯同してツアーを回る」 おいおい、正気か? メンバー3人の機材だけでも運ぶのが大変なのに、何十人もの楽団員を連れて世界を回るだと?
結果は目に見えていた。大赤字だ。 どんなにスタジアムを満員にしても、経費が掛かりすぎて儲けが出ねぇ。途中で資金が尽き、オーケストラを解雇して3人だけでツアーを続ける羽目になった。あの時の惨めさは、見てられなかったぜ。
そして訪れた「ラブ・ビーチ」の悪夢
借金を返すために出されたアルバム、それが悪名高き『Love Beach』だ。 このジャケットを見た時の俺たちの絶望がわかるか? 胸毛をさらけ出し、爽やかな笑顔でビーチに立つ3人……。 「おい、俺たちの魔王はどこに行った!? ビー・ジーズの真似事かよ!」って、世界中のファンがレコードを床に叩きつけたもんだ。
これにて、70年代の最強バンド・ELPの伝説は、あまりにも情けない形で幕を閉じた。 その後、再結成や解散を繰り返したが、あの全盛期の「殺気」が戻ることはなかった。
キース・エマーソンは2016年、指の病気に苦しみ、自ら命を絶った。 その年の暮れ、グレッグ・レイクも癌でこの世を去った。 カールだけが残っちまったが、あいつは今でもELPの遺産を守り続けてる。
悲しい結末? かもしれねぇ。 だが、キースがオルガンにナイフを突き立てたあの瞬間、グレッグが深遠な声を響かせたあの瞬間、確かにこいつらは「神」だったんだ。それだけは間違いねぇよ。
【俺が選ぶ「この1枚」】まずは黙って『恐怖の頭脳改革』を聴け
お前らがもし、まだELPの「真の恐怖」を知らねぇなら、四の五の言わずにこれを聴け。
『Brain Salad Surgery(邦題:恐怖の頭脳改革)』
なぜこのアルバムかだと? これは、プログレッシブ・ロックなんて上品な言葉で括れる代物じゃねぇ。「シンセサイザーを使ったヘヴィメタル」の原点だ。
- ジャケットのアートワーク: あのH.R.ギーガーだぜ? 『エイリアン』のデザインで有名なあいつだ。ドクロと機械が融合したおぞましいジャケット。これを見ただけで、中身がただ事じゃないのがわかるだろ。
- 聖地エルサレムへの冒涜: 1曲目の「Jerusalem」。イギリスの第二の国歌とも言われる聖歌を、宇宙的なシンセサイザーで塗り替えた。BBCで放送禁止になりかけたほどのインパクトだ。
- 悪の教典「Karn Evil 9(悪の教典#9)」: 「Welcome back, my friends to the show that never ends…」 このフレーズに震えねぇ奴は、ロックを聴く資格がねぇ。約30分に及ぶこの組曲は、人間とコンピューターの戦争を描いたSF大作だ。キースのムーグ・シンセサイザーが唸りを上げ、カールのドラムが暴走機関車のように突っ走る。
悪いことは言わねぇ。ヘッドフォンをして、爆音で聴け。 脳みそを直接ジャックされて、改造手術を受けちまうような快感がそこにあるはずだ。
【まとめ】ロックは死なねぇ、ただ形を変えるだけだ
結局、ELPがロック史に残したのは、楽曲だけじゃねぇ。 「限界を超えてやりすぎる」ことの美学だ。
今の時代、効率よくヒット曲を作る方法はいくらでもある。だが、自分の命を削り、破産するまで金を突っ込み、観客をねじ伏せるようなバンドはもう出てこねぇだろうな。
「時代遅れの恐竜」と笑う奴もいるだろう。だが、その恐竜の咆哮は、今聴いても俺たちの魂を震わせるんだ。
お前らはELPのどの時期が好きだ? やっぱり全盛期か? それとも『ラブ・ビーチ』の哀愁か? コメント欄で熱く語ってくれよな。
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